【新刊】送別の餃子ー井口淳子(灯光舎)

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井口淳子・著
2021年初版 灯光舎

【灯光舎HPより抜粋】
中国の北方では、人々は別れの時に、手作りの水餃子を囲んでその別れを惜しむという。
自身の研究分野を「民族音楽学」に決めた著者が選んだ調査地は中国の農村。1988年、文化大革命後に「改革開放」へと舵をきった中国で、右も左もわからぬまま「研究」への情熱と未知なる大地へのあこがれだけで、彼女のフィールド調査がはじまった。
中国という大きな舞台を中心に駆け巡った数十年間には無数の出会いと別れがあった。そのなかから生まれた14の物語をつづったエッセイを、40以上のイラストとともにお届け。
イラスト:佐々木 優

著者の、研究者としての専門的な視点と、人と人が触れ合うときに生じるぬくもり感がいい具合にミックスされた、とても読み応えのある本でした。特筆するべきは、なんといっても装丁の楽しさ。表紙に再現された餃子、ぬめり感のある紙を使った広めの帯、細い線で精密に描かれたイラストは、この本の本質ーぬくもりーをあらわしていて本を手にして感じる心地よさが何とも言えない。この時代の中国大陸の農村部の様子は、写真ではなく手書きのイラストが断然訴えかけてくるものがあると感じた。

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