2023/07/10 17:22
SHIBAMONTES
石川県出身。デザイン専門学校卒業後約20年間、鞄の販売や企画にたずさわる。ラテンアメリカの文化に魅かれ、2018年よりメキシコと日本を行き来する。2021年からは現地に長期滞在し、メキシコ人パートナーと「SHIBAMONTES」をスタートさせる。メキシコの文化を継承する職人の手仕事を日本に伝えるべく、熱く活動中。
―――どうやって仕入れをしているの?
主に買い付けという観点は自分の心から外しています。日本で売れそうという邪念の下になってしまうのが怖いからです。今までの人生で養った自分の感性と物を見極める目を使って、ちゃんと見て、手にとって、話して、作り手や販売している人達と触れ合ってから決めています。
―――自分の感性!!
可愛くても自分が平常心で無ければといつも自分に言い聞かせてますけどね。
―――主にどういうところに行くの?市場とか?
蚤の市を散策して出会うこともあれば、個人の家先で刺繍をしている人を見つけて、その人の家族が営んでるお店を紹介してもらったり、作っている所に足を運んだりとか、色々です。他民族国家なので、小さな村のルールは警察でも介入できない事もあって、携帯で写真を撮る事も許されない場所もあったりします。だからこそ、作ってる人や売ってる人とのコミュニケーションをとって、その人達の文化やルールを尊重します。
―――なるほど、コミュニケーションは大事ですね。
挨拶して、自分がリラックスして、相手もリラックスしてからがスタートです。
―――いわゆる「仕入れ」という感覚ではないことはよくわかりました。
大きなショップで買う事はまずないです。やっぱり知り合った人達の家族の生活が少しでも潤ってくれる事が1番だと思うから。心のわぁ〜良いなこれ!!」と感じたら先ずは挨拶して話してから物を見ます。特に布に関してはそれぞれが1点物だから、1枚1枚時間をかけて話をしながら「この色や!!この柄や!!」と感じた物を抜粋します。
―――手仕事のモノって、一点一点が違うものね。
今回展示のメインカバーになっている布の時は、旅の終盤に現地の民族の人たちが遠くの村から各自が作った品を並べて販売している市場をブラブラ歩いていた時に目に飛び込んできました。その時はたまたま1人で、カタコトのスペイン語からスタートして、細かい事は翻訳機を使って「この刺繍は素晴らしい絶対や!!」自分の心の底から聴こえてきたから、3時間カタコトで話し続けて持ち帰りました。
―――ずっと気になってたんだけど、どのくらい会話できるのかな?って。そんなにペラペラじゃないんだ。
次の日にパートナーと一緒にもう一度行って、また一から間違いのない説明を聞いてもらったりとかもします。スペイン語は超が付くカタコトなので、コミュニケーションはパートナーに任せてます。パートナーが居てこそ行ける場所や知り得る事ばかりです。
―――そっかー、まさに二人三脚やね。
時間と手間をかけてますが、購入された方の生活に少しの楽しさや思い入れなどを持ってもらえる事、それが私達にとってとても価値がある。日本では物はなんでも手に入れ易い環境だからこそ、買う時にも悩んだり考えたりする事が大切なんだと思っています。選ぶ人のそれぞれの生活に馴染む事で、手にした時の事を少しでも覚えていてもらえる事がとても嬉しいですしshibamontesを始めてから今も変わらない喜びです。
というわけで、7月30日(日)~8月21日(月)
手刺繍の大判布や、それらの布を使ったバッグを始め、伝統の焼き物のコーヒーカップ、アクセサリーやキーホルダーなどの小物まで、風文庫の店内所狭しと並びます。風文庫にラテンアメリカの暑い風が吹き荒れる夏!ご期待あれ!!