2021/11/02 16:00

 展示の最終日は10月25日。その日は朝から雨模様。しかも結構しっかり降っている。こんな日にはお客様がほとんどいないと割り切って、たまった事務仕事でも、とか、読みたかった本を読むチャンスと決め込むのだけれど。。。夕方の片付けの最中にも駆け込んでこられる方がいたりして、連日の盛況ぶりをそのまま引き継いだ形の一日になった。

 今回の展示の振り返りをするにあたっては、2019年夏にまで時計の針を巻き戻すことになる。

伊丹市立美術館で開催された「エインスト・クライドルフ展」の招待チケットを3枚持っていた私は、そのうちの1枚を岡村さんにプレゼントした。約2年前のことだ。美術館へ足を運び、クライドルフの作品に感銘を受けた彼女から、今までとは違う挑戦をしてみたい、という創作に関する意欲をお聞きし、いずれ形になった時には風文庫で展示をさせてほしいとの意向をお聞きする。もちろん願ってもないこと。

もともと読書家の岡村さん。風文庫のオープン当初から何度も来店して本を購入してくださっていた。彼女の作品の大ファンの私も、近隣のギャラリーでのグループ展などには足を運んだ。昨年末、彼女のInstagramに初めて現れた妖精。それを見たときピンときた。この子がモチーフの一部になるのだと。もうすぐ風文庫の店内に現れてくれる妖精なんだと。搬入日に作品を初めて目にしたときの感動は、今思い出しても震える。美しい。。。それしか言葉がなかった。ためいきをつくばかり。


 それぞれの作品には、彼女なりのストーリーがあり、展示スペースに作品が並んだ状態でテキストを読ませていただいた。それを読み、また震えた。いい!文章がいい!大人向けの絵本のような上質な物語がそこにあった。が、その物語を作品に添付することは、作者の気持ちを押し付けることにならないかと危惧しているとのこと。とことん控えめな彼女。でもその気持ちもとてもよくわかる。作品を見てくださる方、それぞれの方に感じてもらいたいという気持ち。結局、二人で相談の上、4作品にだけにストーリーのキャプションをつけることにした。


来店してくださるお客様は、もともと彼女の作品のファンの方が圧倒的に多かったが、DMを置いていただいていたカフェや書店さんから来てくださった方も、来店して初めて展示を見た方ももちろんたくさんいた。本当に多くの方に見ていただけたことがとてもうれしい。そして、多くの作品が、お客様のもとへ旅立っていった。


控えめで繊細な彼女の性格の中に、一貫して流れている頑固な一面。その魂のようなものを私は感じ続け、そのことが、彼女と彼女の作品を信頼できるという気持ちになっていると、今は思っている。今後の彼女がとても楽しみだ。 

norisuke_オカムラノリコ(@nori_suke_oka) • Instagram写真と動画
  https://www.instagram.com/nori_suke_oka


 (2021.11.2

© kazebunko/ashiya_mitsubachi since 2019