2021/06/18 17:13

私たちの生活が、こんなにも不自由ではなかった昨年の冬の終わりごろ、風文庫の近くに住むという70歳代のご婦人が訪ねてきた。スロバキアの絵本作家のイラストをたくさん持っているので、展示してもらえるところを探しているという。何日かしてそのイラストが載っているという絵本を持ってこられた。その本は、分厚くて重くて、絵本というよりまるで図鑑のよう。それを何年もかけて日本語に翻訳した張本人が目の前にいる「わたし」なのだと。その(図鑑のような)絵本と(それを日本語に訳すことになった経緯やスロバキアへの旅などが書かれている)ご本人の著書を半ば強制的に(!!笑)お貸しいただいた。それを読むと、「この話ホンマなん?」という程、翻訳~出版~スロバキア訪問と、何のつてもないのに無謀ともいえる行動力におののくばかり。何のつてもなくと言えば、風文庫に唐突に訪ねて来て本を置いて帰る、というのも、彼女のこの行動力のたまもので、一貫性はある。この強引ともいえる力に押し切られた感もある今回の展示です()

チェコの絵本は、チャペック兄弟を始めアニメーション作品を通してなじみがあるものの、スロバキアとなると・・・。ただ一つ、BIB(ブラチスラバ世界絵本原画展)の開催地がスロバキアであり、シンボルマークをデザインしたデザイナーが、彼であるということに、興味をそそられた。


その後何度も繰り返された緊急事態宣言で、風文庫のギャラリースペースも休眠状態のまま一年ちょっとが過ぎるが、その間、何度もお客さまとしてご来店下さり、そのたびにいろいろなお話をお聞きすることになった。ビロード革命については、私もわからないことだらけだったので、時々こっそり検索をして、さもわかったように相づちを打ちながらお話をお聞きした。そのうち、彼のグラフィックデザイナーとしての名声が大きいということや、来日の際は、いわさきちひろ美術館をはじめ、全国の画廊で展示を開催していたことなどもお聞きするに「そんなに貴重な作品、果たして私の手に負えるのか?」などぐずぐず考え始める私。さあ、どうする!

でもでも、これもご縁。
機が熟した!


「スロバキアと芦屋~『白いお姫さま』が結ぶご縁をたどる旅」2021619日(土)より展示いたします。

結び目の先スロバキア側は、子どもの絵本イラストレーターでありグラフィックデザイナー、ミロスラフ・ツィパール氏、芦屋側は、中村祐子さんです。
このお二人の繋がりと、ツィパール氏のご紹介は、次回お届けします。

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