2021/05/11 17:36

休業中、朝の散歩が日課になった。毎朝6時、本とスマホだけを持って家を出る。コンビニで飲み物と菓子パンを一つ買い、少し歩く。すれ違い、追い抜かれるのは犬と一緒に散歩している人、がっつりランニングをしている人。意外だったのは黙々と歩く年配夫婦が多いこと。適当なところで座る場所を確保し、読みかけの本を開く。前日の夜、読み終えるのを我慢して今日のために置いておいた大切なところ。読んで飲んで食べて、ウォーキングというよりこちらが楽しみな朝の時間。最初のころはたくさん歩かなくっちゃと意気込んでいたけれど、そのうち早く本の続きが読みたくて座る場所ばかり探す日々になった。

大学生の時、ウィンドサーフィンが流行っていて親友と親友の彼と一緒に何度か来た香櫨園浜。80年代初めのころの話。この海は泥水色でゴミだらけで、セイルを持ち上げたら、粘り気がありそうなぐらいどろどろの水といっしょに魚の屍骸もすくい上げていた。よくあの水の中に入っていたと思い出すと軽くめまいがしそうだけど、今は透明で本当にきれいな海だ。

サッカーボールを蹴っている小学生の兄弟は昨日も来ていた。今日はお母さんらしき人が近くに座って子どもたちを、そして海を見ている。
魚が跳ねる。死んでいない魚。生きているのが嬉しいって。
まいにち同じ場所で釣り糸を垂れているおじいさんが一人。今日は孫の家族が
合流したみたい。子どもたち、とてもうれしそうに砂浜を走っていたけれど、少ししてまたおじいさんは一人、釣り糸を垂れながらのんびり海を見ていた。
なんていう名前なのかわからない鳥がものすごいスピードで水面に垂直に降りてきた。えさの魚を見つけたんだね。テレビで見る映像のようでちょっと感動。
向こう岸芦屋側には、県立海洋体育館。阪神間の高校、大学のカヌー部、ヨット部の若者たちの活動場所で、週末には家族連れや体験学習の子どもたちでにぎわう。そしてその向こうには、言わずと知れた芦屋浜高層団地群。こちらについては一つのまとまった文章が書けそうなので、いずれまた。


帰り際、堤防のところに座って、さっきのサッカー少年たちとお母さんらしき人がアイスを食べていた。そこのコンビニで買ったんだね。うん、幸せのおすそ分けもらったよ。ありがとう。

(2021、5,11)

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