2021/04/19 14:51
「子育てのノロイをほぐしましょう」 赤木和重・著 日本評論社(2021年2月)
著者の赤木重和先生に指導をうけて卒論を書いたことがあります。と、少し身の上話から。
放送大で心理学を専攻していた時、紹介してもらったのが、当時まだ若手で神戸大に転任してきたばかりの赤木先生でした。放送大神戸センター長が神戸大の心理学教授だった方ゆえ、厄介な仕事を押し付けられたのではと思います。放送大で卒論を書く学生、稀ですからホンマ厄介やったと思います。本書に登場する小学生の息子さんが生まれたばかりの頃だったから、もうかれこれ7-8年前でしょうか。せっかく子育てを経験したんだから一般の学生には書けないものをと、テーマを決めるところから熱心に考えてくださり、しつこいメールの質問攻撃に半年以上お付き合い、その上鳥取大にまで連れていってくださいました。真面目過ぎるぐらい真面目な方~。その節は大変お世話になりました。
先日、偶然風文庫に来店された神戸大発達科学部院生だというお客さまから先生の新しい本が出てますよ、と教えてもらいました。さっそく読みましたよ。さすが赤木先生!ええとこついてます!20年前にこの本に出会いたかったです。今ならそうそう!って理解できることばかりだけど、あの頃読んでたら、もっと肩の力が抜けたかもしれないなあ。いや、違うな。今だから理解できるのかもしれません。だからこそ今、子育て真っ只中の親御さん達に、この本を知って欲しいなあと思います。
先生の内面の優しさがたっぷり詰まった本でした。発達心理学者としてのプロの視点がベースにあっての優しさです。人を見るときの視点が独特です。あの頃うっすら感じていた先生の「どんくささ」もしっかりぎっしり詰まっておりました(笑)
本のタイトルの「ノロイ」という表記の妙さ。「呪い」ってマイナスの響きでしかない言葉なのに、カタカナにしたとたん、自分事としてすっと入ってくる。そうか、私ってノロワレテイルのか、、、って。
ちょうどこの原稿を連載中にコロナ渦になったそうで、子どもたちを取りまく特殊な環境に対してのモヤモヤした気持ちに寄り添ってくれたり、考え方のヒントになる言葉も散りばめられています。サブタイトルに「発達障害の子どもに学ぶ」とありますが、決して特定の分野の本ではなく、子育てをしている親御さんや教育、保育にかかわっている方全員に向けての本です。でもまあ、子育てハウツー本を書店で買って読んじゃうってことは、ある意味先生の言う「子育てのノロイ」のトラップにハマってしまっている、とも言える?かもしれませんが、この罠にはハマったほうがお得です。
本の内容については、
『子育てのノロイをほぐしましょう:発達障害の子どもに学ぶ』刊行記念 著者インタビュー | Web日本評論 (web-nippyo.jp)
を是非読んでいただけたらと思います。これを読むだけでも、充分役に立つと思います。って、コラ!あかんやん!
これを読むだけで、本を買いたくなることと思います。ははは。
(2021.4.19)